「立野ダム先にありき」になっていないか

 11日、建設常任委員会の管内視察がおこなわれました。関係者の皆様、大変お世話になりました。
 作業に当たっておられる皆様の安全と、そして国道や崩落現場の復旧など、必要な工事の早期の完成を願うものです。
 さて、視察では立野ダム建設現場の視察もおこなわれました。
 西日本一帯を襲った豪雨災害の中で、ダム放流が水位上昇の原因となったのではないかとの報道がおこなわれている時だけに、立野ダムの治水効果や安全性について、しっかり話をうかがいたいと思っていたのですが・・・・。
 はっきりいってまともなお話を聞くことはできませんでした。
 立野ダム工事事務所の鵜木所長さんのお話は、どちらかといえば「環境に配慮している」「観光名所としても」「断層から離れている」「穴づまりは起こらない」といった話が中心で、ダムによる治水効果についてのお話が無かったために、最後に所長さんに質問をさせていただきました。
 「立野ダムによって水位はどれくらい下がるんでしょうか」
 しかし残念な事に、出てきたご回答は平成24年水害時に検証した「40センチ」(熊本市代継橋地点)のまま。その後劇的に改善した河道拡幅による変化が反映されていません。
 「平成24年水害時、立野ダム予定地付近には毎秒何トンの水が流れてきたのか」「過去最大雨量がもし仮に継続した場合、どれくらいの時間でダムは満水になるのか」などの質問にもご回答いただけませんでした。そのため、お聞きしたかったそれ以降の質問ができなかった事も残念でした。
 何か最近、「ダム建設ありき」の強引さが目立っているのではないでしょうか。ダムの危険性が改めて叫ばれている時だけに、丁寧な説明が求められるところです。
 南阿蘇村の吉良村長が、「ダムといえばアレルギーのように反応する方々がいる」と、ダム反対の意見にアレルギー的に反応しておられたことも強烈な印象でした。 不安の声が上がるのは当たり前だと思いますが、その存在を、まるで悪であるかのように封殺されるようなご姿勢に、思わずどこかの国の首相の姿を連想しました。さまざまな意見に謙虚に耳を傾けていただく勇気と良心を期待したいものです。
 8月には立野ダムの本体着工が予定されています。しかし万が一の事態が起これば、それこそ取り返しがつきません。ダムの安全性、治水効果等々、現実に起こっている水害の事実をしっかり踏まえた検証を求めたいと思います。