熊本城マラソン

 今日は熊本城マラソン。熊日30㌔の白熱のレースには感動した。激戦を制した最強の市民ランナー・川内優輝選手は、かつて瀬古や宗兄弟らが世界と渡り合ったころ以来の、久々に男子マラソン界に登場した国民的ヒーローだ。

 それにしても2週間前、別府大分毎日でフルマラソンを走ったばかりだというのに、どこからあの驚異的なエネルギーが出てくるのだろうか。川内選手はレース後、「自分も多くの市民ランナーのみなさんと同じように、走ることが好きなだけです。多くの沿道の応援にも力をいただいた」と語っていた。

 自分の持てる力、技術、能力を出しつくして勝利をめざす。そこに見ている側も感動し、勇気をもらうことができる。だからスポーツは素晴らしい。

 以前世界トップレベルにあった日本マラソンが、近年低迷してきている要因の一つに、実業団チームがフルマラソンよりも駅伝に力を入れてきている実情が指摘されている。かつて瀬古利彦としのぎを削った中山竹通は、「実業団にとってリスクを伴うマラソンよりも駅伝のほうが宣伝効果が大きいからだ」と苦言を呈している。そんな中で実業団からの誘いを断り、地域に支えられつつ国内トップレベルの実力を身につけるに至った川内選手は、まさにこの国のスポーツ界の新しい発展方向の可能性を示してくれているのかもしれない。

 加えて言えば、国民にこのような感動と勇気を与えてくれる選手たちの競技生活を支える体制を確立することが、この国には必要だ。それまで広告塔として利用しておきながら不況になると真っ先に切り捨てるような企業スポーツ部の問題も問われなければならない。