国民との絆

 総選挙で日本共産党議席を減らしました。大変残念です。憲法や消費税、原発など、今後の政治動向にも不安が募ります。
 しかし一方で、矛盾したことではありますが、私は今回の選挙戦を通じ、確かな喜びを一方で感じています。それは、かつて経験したことのないといってもいいほどの、皆さんからの温かい反応をいただいたことであります。
 今回の選挙戦は序盤から日本共産党の苦戦が伝えられていました。ところが、そのことが報じられると、その一方で有識者、善意ある有権者の方々から、「共産党を後退させてはいけない」「今まで共産党に入れたことはないが、比例は共産党を支持する」などの声が公然と出始めてきたのです。
 もちろんまだそれは萌芽的なものであり、選挙結果を揺るがすほどの勢いとはなりませんでした。しかしその流れは、日本共産党が今の路線を誤らない限り、決して途絶えることなく、やがて奔流となって政治を揺るがすほどの力に広がっていくであろうことを確信させるものでした。
 選挙前の政党の離合集散劇を通じて、政治家というものは、多くのしがらみ(選挙資金、集票力など)に縛られているものだという事が、はからずも露呈したのではないでしょうか。そんな中から立憲民主党という、大義の旗を掲げた政党が登場し、多くの支持を集めたことは、私にとってもうれしいことでしたが、しかしながら、市民と野党の共同が今後とも健全に発展していくためには、企業献金政党助成金に頼らず、草の根から党を作ってきた日本共産党が、一定の位置を占めて存在することが、絶対に必要だと私は思っています。
 こうした認識は私だけでなく、この間の「市民と野党の共闘」という経験を通じて、実践的に、嗅覚的に、肌身で感じ取ってくださった市民の皆さんの中に共有され、「共産党議席を減らしてはいけない」との思いで声を上げ始めてくださったのではないでしょうか。そのことが私は大変うれしいのです。
 私は、日本共産党と国民との関係は、日本国憲法と国民との関係と似通ったところがあるのではないかと感じています。私たちはしばしば、「憲法を国民が守り、その憲法によって国民は守られてきた」との表現を使います。日本共産党と国民との関係も同様ではないでしょうか。
 すなわち、日本共産党が国民を守り、国民が日本共産党を守る。そんな信頼関係を築いてゆく第一歩が、まさに今回の衆議院選挙であったと私は思えるのです。
 もちろん、日本共産党が票と議席を減らしてしまったことについては、期待していただいたみなさんの思いにこたえられなかった反省とともに、十分に検証を深めていく必要があることは言うまでもありません。独自の自力をもっともっと大きくしなければなりません。しかし、国民の苦難軽減という立党の精神のもとに、日本共産党員の一人として奮闘することは、決して自己満足の世界ではなく、周囲の方々から「信頼」「支援」「協力・共同」という、大きなご褒美をプレゼントしていただけるという喜びに満ちた、なんとまことに充実した生きがいであろうかと改めて思います。