ルネサスマイクロシステムの事業所閉鎖

 日本を代表する電機・半導体企業の大リストラの嵐が吹き荒れている。今回、日本共産党として熊本県に申し入れを行ったのは益城町のルネサスマイクロシステムの事業所閉鎖問題。従業員400名の九州事業所を10月1日をめどに閉鎖するという計画であり、大半が地元に居を構えている労働者は、関東への移動か、退職かの選択を迫られるという。

 それにしてもやり方があまりにも乱暴だ。いったいどれくらい真剣に、個々の労働者の家庭の事情や地域経済への影響を検討したのか。

 かつて日本の半導体技術と製品は世界を大きくリードしていた。ところが近年、日本の技術やノウハウを吸収したアジア企業が急成長。劣勢に立たされた日本企業は分社化や事業所の再編・統合、労働者の大リストラなど、もっぱらコスト削減ばかりを追求しているようだ。そんな目先の利益ばかりにとらわれてしまっては、ますます日本の技術力が衰退し、人材が流出し、アジアや世界のライバル企業の競争力を高める悪循環に陥ることは明らかなのに。

 利潤第一主義の新自由主義的な経済体制のもとでは、当面の競争への生き残りをかけ、「わかっちゃいるけどやめられない」方式で、労働者や地域経済に犠牲を負わせる大リストラを繰り返していくしかないのか。だが、安倍首相が言うように、「強い日本」を本気で取り戻そうというのであれば、電気産業の大リストラ計画に、まずストップをかけるような政治力こそ必要だ。日本共産党は大企業を敵視しているのではない。大企業の目先の利益ばかりを優先していては、日本経済そのものが行き詰まると主張しているのだ。一方的な首切り・リストラや不安定雇用など、横暴的なやり方を民主的に規制せよと言っているのだ。10年、20年先の日本の将来を展望して、人を大切にし、労働者が生き生きと能力を発揮できる環境を整備し、日本の技術とものづくりを守り発展させる戦略に転換させることが必要だ。